2014年08月05日

犬の白内障手術?

ヒトではすっかり一般的になっている白内障の手術ですが
動物たちではどうでしょうか?

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皆さんが耳にされ、ご存知の病気かとは思いますが、
白内障とは眼球の中の「水晶体」が白く濁って光を通しにくくなり、
視力に問題の出る病気です。
濁りの程度が進むことでどんどん見えにくくなり、
全体が真っ白に濁ると見えなくなってしまいます。
白内障は、ワンちゃんの病気としては比較的よくみられ、
ネコちゃんではあまり多くはありません。
原因としては、ヒトでは年齢に伴うものが一般的かと思いますが、
ワンちゃんで問題になるものでは遺伝によるものが多いとされ、
若いうちにみられることも少なくありません。
もちろん加齢によるものもみられますし、
他に糖尿病によるものや、網膜の病気からくるもの、
放射線治療や目のレーザー治療が原因するものなどが挙げられます。

目が白くなってきた場合にどうすればよいかですが、
まずは、その白さが白内障すなわち水晶体の濁りかどうか確かめることが重要です。
白くなる場所は水晶体の他に角膜や前眼房と呼ばれる水晶体の前の部分もあり、
この場合には他の病気の可能性も考えられます。
また逆に、白くないのに見えなくなってきた場合には
水晶体の後ろの網膜や視神経などの
光を受け取って脳に伝える部分の病気も考えなくてはいけません。
今みられる症状がどの部分の悪さなのかきちんと診断する必要があります。

診断の上、白内障だと分かった時に治療に入りますが、
現在にところ、白内障の根本的治療は手術しかありません。
これはヒトと同じかと思います。
年齢に伴う白内障の進行を遅らせる目的の目薬はありますが、
白くなってしまった水晶体を元の透明なものに戻す治療ではありません。
濁ってしまった(タンパク質が変性してしまった)部分は物理的に取り除く必要があります。
手術前IMG_7035のコピー.jpg手術後IMG_7394のコピー.jpg

ワンちゃんにおける白内障手術も基本的な手術方法などはヒトと同じなのですが、
ヒトの手術と違う点がいくつかあります。
まず全身麻酔が必要な点です。
ヒトの場合には目のまわりだけに局所麻酔をして手術することが可能で、
比較的短時間で終わり、日帰りでの手術などもあるかと思います。
ワンちゃんの場合、局所麻酔で顔を動かさずにじっとしていてもらうことは不可能ですので
全身麻酔は欠かせません。
その他、目を掻いてしまわないようにエリザベスカラーが必要になりますし、
点眼も自分ではできないので、飼い主様に差して頂く必要があります。
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また、合併症もヒトの手術よりは多くなります。
白内障が動物自身の訴えではないために
ヒトの場合よりも進行してから気付いて手術になることが多く、
また構造の違いもあって、ヒトの手術に比べ合併症の確率が高くなっています。
手術に伴う合併症を減らすためには
なるべく手術に適した時期を見逃さないことが重要です。
それにはまず普段からよく目を観察して頂き、異変に気付くことが第一です。
白内障は時間の経過とともに進行する疾患であり、
早期発見により早い時期から経過をみることができれば
手術に適した時期を見極めることができます。

では、治療(手術)しなければどうなるのでしょうか?
白内障は視力障害のみではなく、
水晶体のトラブルが目の中の他の部分に影響することで、
炎症を起こしたり(水晶体起因性ブドウ膜炎)、水晶体がずれてしまったり(水晶体脱臼)、
それらに続いて緑内障などの合併症を引き起こしたりすることがあります。
これらは痛みなどの症状を伴うことがあり、
手術を受けない場合でも、そのまま様子をみるだけではなく、
合併症の予防および治療が推奨されます。

白内障は手術により治療が可能な病気です。
まだまだその事をご存知でない方も多いかと思います。
手術で治すという選択肢があることを知って頂くことで、
良い視覚を維持できる子が多くなればよいなと思っております。
posted by 草津犬猫病院眼科スタッフ at 11:23| 日記

2013年08月24日

眼軟膏の使い方

以前、目薬(点眼薬)のさし方については書かせていただきましたが、
今回は目に直接つける軟膏、眼軟膏の使い方について書いてみようと思います。

目薬に比べると使う頻度は少ないですが、
ドライアイや角膜のむくみなどの目の表面の病気では
眼軟膏が必要となる場合があります。
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眼軟膏は、きれいなまま使っていただくというのが基本的な考え方です。
動物たちの目の周りや、我々人間の指の汚れ、細菌を軟膏につけないよう気をつけます。

一回につける軟膏の量は、軟膏の種類や使う目的にもよりますが、
おおよそ0.5〜1cmくらいが目安になります。
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うまくさせてくれる子であれば、
上まぶたを軽く開けて(持ち上げて)、軟膏を少し出した状態で
まぶたの縁に引っ掛けるようにつけるのがひとつの方法です。
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同様に、下まぶたにつけてもらってもよいかと思います。

上記の方法のほうがやりやすいかもしれませんが、
白目(眼の結膜)に直接塗る方法でも良いかと思います。
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それは難しいかな?できなさそうかな?という方は
つけたい量(より少し多め)の軟膏を綿棒に乗せ
それをまぶたの縁か白目に塗りつけます。
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まぶたの縁につけて、綿棒をくるっとまわして塗りつけます。

このような方法でうまくいかない場合には一度ご相談ください。

尚、軟膏の保存は基本的に常温でよいものがほとんどだと思いますが、
真夏の暑ーい部屋に置いておくと、
中身が融けてしまって液体に近い状態でどんどん出てきてしまうことがありますので、
体温に近い、もしくは超える温度にはならないように保管してください。

posted by 草津犬猫病院眼科スタッフ at 20:20| 日記

2012年11月12日

まぶたの小さなイボ

年齢に伴い、身体のいろいろな部分に「イボ」ができてきますね。
もちろん全くない子もいますが、
ブラッシングの際に引っかかったりして気付くこともあるかと思います。

身体にできるものとしては、乳頭腫、皮脂腺腫などの良性の腫瘍が多いと思われます。
放っておくとだんだん大きくなって邪魔になってきます。

そして、これらと同じようなものが、まぶたにもできることがあります。

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はじめは針先くらいの小さなものがみられます。
ゴミ、もしくは目やにがついてるのかな?と思うようなものです。
それが「イボ」である限りは徐々に大きくなります。

このイボ、できれば早めに手術で取ってあげることをお勧めします。

やっかいなのは、まぶたは代えが利かない大事な臓器であるということです。
特に上まぶたは目を保護するために必要な機能が詰まっており、
他の皮膚の移植では十分にその代わりができません。
大きく失ってしまうわけにはいかないものなのです。

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では大きくなったイボをそのまま残しておくと・・・

ひどい場合には目が閉じられなくなって目が保護できずに
目を傷つけてしまう可能性があります。

最悪の場合、目を失うことにつながることもあります。

また月日が経てば、ほんとに大きくなってしまって邪魔になる頃には
ある程度年齢を重ねて全身麻酔のリスクが高くなっていることが少なくありません。

そして、中には悪性のもの、いわゆる癌ができることもありますので、
特に大きくなってくる場合にはご注意ください。

気になるイボがあるようでしたら一度ご相談くださいね。
posted by 草津犬猫病院眼科スタッフ at 07:59| 日記

2012年09月30日

眼が赤いときA

先日、眼が赤くなる病気に関して少し書きましたが、
もっと軽い症状で、病気でないものだとどれくらい赤くなるでしょうか?

今回は“興奮”“緊張”でどれくらい赤くなるものか試してみました。

まずは当院スタッフのチンペイ君。
ちょっと疲れるまで遊んでみました。
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before
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after
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わりと赤いですね。

つづいてリュウ君。
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before
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after
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けっこう赤くなりました。

さらに、実家におりますシーズーのランちゃんです。
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隣にいるぬいぐるみを追いかけて走り回った後の眼がこれくらいでした。ran2.JPG
ほとんど変わらずでした。


“興奮”の程度と個人差で、充血の程度はさまざまですね。


また、この子たちは、病院に来る際にはいつもこれくらいの充血がみられますが、
ご自宅ではこの充血がなくなるそうです。
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こういった子は時々いるように思います。
(ヒトで言うと、緊張のあまり顔が赤く、熱くなってきている状態でしょうか??)

とても緊張した状態では、見た目でわかるくらいの充血は出ることもあると思われます。

その他の一時的な充血の原因として一時的なゴミ、ホコリの刺激や
風に当たっての乾燥などが考えられますが、
ちょっとそれらは試しにくいので、そういった原因が考えられる子がいれば
記録を残させてもらおうかと思います。

ここまでお示ししたのは「結膜充血」といわれる充血のタイプです。
今回掲載したくらいの赤さでも、
続く時には病気による充血の可能性もありますので一度ご相談ください。

時々でも、眼をみてみてあげて下さいね。

posted by 草津犬猫病院眼科スタッフ at 21:35| 日記

2012年08月31日

目薬は何滴いるの?

眼の病気の際にはお世話になる目薬ですが、
動物たちにさすにはどれくらいさせばよいでしょうか?

結論からいうと、目薬として眼に落とすのは1滴で十分です。


ほとんどの目薬はヒトの目を想定して作られており、
それを効果に応じて動物たちにも使います。

眼の大きさ(眼球全長)はヒトで23〜24mm、
イヌで17〜25mm、ネコで20〜22mmであり、
体格と比較するとヒトよりも眼が大きいといえるかもしれませんが、
眼の大きさとしてはヒトより少し小さいくらいです。

普段、眼の表面にある涙の量がおおよそ50μℓですので、
眼の表面に貯められる液が50μℓくらいだと考えられます。

目薬は1滴が約30〜50μℓという量で出るようになっています。

ドライアイがない場合には涙で満たされた眼に目薬をさすので
1滴さすだけでも、落ちた目薬のかなりの部分は溢れ出てしまいます。

1滴落ちた目薬のうち20%ほどが眼の表面に残り、
さらにそのうち0.5〜0.1%が眼の中へ進んでいきます。

わずかなんです、実は。

しかし、眼の表面(角膜)には血管がなく、
傷がついたり細菌感染が起こった場合には涙の成分でまず対処します。

それでは足りない分を補うため、目薬は眼に直接効かすことのできる大事なお薬です。


ほとんどの目薬は、失敗したと思ったらもう一度さしても問題ありません。
(緑内障の目薬など一部の目薬は回数、量により
 副作用が出ることがありますので、一度ご確認ください。)

以前記載した目薬のさし方も参考にしてみてください。
http://kusatsuinunekoophth.sblo.jp/archives/201107-1.html

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posted by 草津犬猫病院眼科スタッフ at 15:49| 日記